「知って防ごう!トビとのトラブル」

神奈川沿岸のトビの現状
tobi2トビ(トンビ)はほぼ全国に生息していて多くの人に馴染みのある鳥です。ピーヒョロロの鳴き声で、のどかな海岸、里山の風景を思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし今、そのトビが、神奈川県の三浦半島や湘南の海岸付近で人の持っている食べ物を奪う行動を頻繁に起こしています。このあたりでは珍しくもなくなったことですが、これは全国全てのトビの行動ではありません。ではなぜ、限られた地域でそんなことが起こっているのでしょうか?

どうして人の手から食べ物を奪うようになったのか?
人の餌やりが原因とされています。

本来、トビは臆病で人に近づくのを恐れ、人が持っている物をわざわざ取りにくることはしません。この地域は、早くからの開放的な観光地、リゾート地であるために屋外で食事をすることが多かったからでしょうか。長年、安易にえさを与えてきた行為が、トビと人との距離を縮め、人が手にしている物は食べ物で、彼らに簡単にできる狩り〉と認識させ、学習させてしまったようです。また、意図的でなくても私たちが食べ物を取られることは、トビに食べ物を与えたことと同じなのです。

一部の人の餌やり行為だけでなく、多くの人も彼らの困った行動を助長させてしまっているのです。私たちはこの点も重視し、トビに食べ物を取られないための以下の方法を皆さんにお伝えしています。

  • トビのいるような場所では屋内で食べる。
  • やむなく野外で食べるときは、建物、壁を背にして食べる(背後から急降下してくるので飛行ルートをさえぎる)
  • パラソル、屋根の下で食べる(視界をさえぎる)

tobi1食べ物はケガもなく取られることも多いですが、翼やツメがあたって傷を負う、驚いた拍子に転倒するなどの被害があります。死体、腐肉を食べるトビのツメ等は衛生的とはいえません。また、人による野生動物への餌やりは狭い範囲だけに個体数を増やし、本来の生活をゆがめてしまう可能性があります。神奈川のトビ問題は、その例ではないでしょうか。ここで起こっていることは、他県の一部地域でも情報が寄せられてきています。将来、他地域でも同様の困った状況になる可能性はあるでしょう。

この現状を多くに方々に知ってもらい、トビと私たちの関係に何か改善の手立てはないか、皆さんと考え、今、出来ることをお伝えしていきたいと活動しています。私たちは、神奈川野生動物救護連絡会として他の団体と協力し、以下のリーフレットを製作、配布、現地調査、PRイベント等の活動を行っています。ご協力をよろしくお願いします。

◆リーフレット・ダウンロード (PDFファイル・四つ折りタイプ)
tobi-print

「知って防ぐトビとのトラブル」(救護連神奈川野生動物救護連絡会制作) ぜひご覧ください。

(文章:リハビリテーター4期・岡)