相模川 釣り針釣り糸調査

tsuriito野生動物リハビリテーターが活動している神奈川県には、私たちの他に多くの野生動物の保護団体があります。それら複数の団体の有志が集まり、共に活動できる場として『神奈川野生動物救護連絡会』(以下救護連)があります。

救護連では共通テーマのもと、それぞれの団体の持ち味を生かしながら力を結束し、野生動物救護の究極の目的である生物多様性の保全を目指し活動を展開しています。その中のひとつが『釣り針釣り糸調査』です。

川や海では人間がうっかり残していった釣り糸、あるいは『まぁいいか』で放置した釣り針や釣り糸、釣り糸が切れてしまって回収できず、やむなくそのままにした釣り糸などが数多く残されているのが現状です。そして、その残された釣り針や釣り糸が原因で保護される野鳥がいます。足に絡まり飛び立てなくなったり、くちばしに巻き付いて餌がとれなくなったり、針と糸ごと飲み込んでしまう例もあります。しかし保護されるのはほんの一部で、保護されてもすでに弱っていてそのまま命をおとすことがほとんどです。

tsuriito2この状況をなんとかしたい!という思いで、まず実際にどれだけ釣り針や釣り糸が川や海にどれだけ残っているのか?を知ることから始まりました。海や川すべての状況を調べるのは大変難しいため、アユ釣りが盛んな相模川にしぼって釣り針釣り糸の残留状況を把握し、被害の予防と河川の環境改善につなげる第一歩として2009年から4年間調査を行いました。

調査は、アユ釣りの解禁期前・解禁期中・解禁期後の年3回2.2kmを11ポイント(同一場所)で釣り針と釣り糸を採取し、手作業で仕分けして重さを量りデータを集めました。これらのデータをまとめ、国際フィッシングショー・ジャパンバードフェスティバルをはじめよこはま動物園ズーラシア、金沢動物園、野毛山動物園等のイベントに参加展示し発表しています。

ひとりでも多くの人に現状を知ってもらうことが被害を少なくする第一歩であり、最も大切であるという共通認識のもと、今後も調査や発表を継続する予定です。

(文章:リハビリテーター4期・東山)