ヒナを拾わないで!!

~なぜヒナを拾ってはいけないの?~
hina2 野生動物ボランティアセンターをはじめ、救護施設には野鳥の子育ての季節である春から夏にかけて多くのヒナが保護され運ばれて来ます。特に巣立ったばかりでまだうまく飛べないヒナを、ケガと勘違いして保護してしまう、いわゆる「誤認保護」のケースが目立ちます。

実は、巣立ったばかりのヒナは、うまく飛べなくて当たり前です。なぜなら、羽がはえそろうとすぐに巣立ちをし、その後、親鳥と一緒に飛ぶ練習をするからです。それからひとり立ちするまでのしばらくの間、親鳥と一緒に過ごし、野鳥としての生き方を学ぶのです。ですから、もし巣立ったばかりのヒナを拾って持ち帰ってしまったら、それは親鳥から引き離してしまうことになるのです。親子の大切な時間を奪ってしまうことになるのです

~ヒナを拾わないで!!キャンペーン~
WRVは、
日本鳥類保護連盟日本野鳥の会との共催で「ヒナを拾わないで!!キャンペーン」を実施しています。身近な野鳥たちの習性や生態を学んだうえで、巣立ちビナへの正しい対処方法を知ってもらい、誤認保護をなくしていきたいと思っています。ポスターを作成、配布するとともに、各地でイベントも行っています。

~やむを得ず受け入れたヒナたちは~
hina1「ヒナがじっとして動かない」「ケガをしている」など、助けなければならない場合、あるいは誤認保護してしまい親鳥の元へ帰せない場合は保護しています。ヒナの種類や成長具合によって適切な餌を選んで与えていきます。

自力で食べられないことが多く、口も開けない、飲み込めないヒナには強制的に餌を飲み込ませます。これを1~2時間おきに繰り返し与えることになります。ただし、巣立ったばかりのヒナは未熟ですから、この段階で弱っていき、亡くなるヒナも少なからずいるのも事実です。運よくこの段階をクリアしたら自力で食べる訓練です。そして、順調に成長したら野生復帰に向けて大きなケージに移し飛翔の練習をします。その後、適切な放鳥場所を選び、天候をみながら、ようやく野生復帰となるわけです。

~ヒナを拾わない もう一つの理由~
野生復帰まで漕ぎ着けられるヒナは、悲しいことにそれほど多くはありません。しかも、私たちがどんなに頑張って世話をしても、親鳥の代わりにはなれないことを私たちリハビリテーターは痛感しています。ヒナの口に餌を入れたり、自力で食べるように促したり、と親鳥なら何でもないことなのに、私たちには非常に手のかかる難しい技術です。さらには、空の飛び方、餌の在り処、外敵からの身の守り方、仲間とのコミュニケーションなど、私たちが教える術など全くありません。野生動物リハビリテーターは、ヒナは親鳥に育ててもらうことが一番幸せなのだということをこうしたヒナの世話を通して実感しているのです。

※もし、巣立ちビナを拾って持ち帰ってしまっても、親鳥の元に帰せる場合があります。ご相談ください。
「野鳥を拾ってしまったらのページも合わせてご覧ください。 

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(文章:リハビリテーター4期・山下)